今月9月に、ある事件が起きました。
小型犬のマルチーズをお預かり中、中型犬の雑種の子がその子の首に噛みついてしまった結果、第一頚椎を骨折させてしまいました。
一命は取り留めたものの、頸椎神経損傷のため4肢が機能していないとのことです。
ご家族が旅行中の出来事で、旅行をキャンセルして戻って来てくださいました。せっかくのご旅行中にこんなことが起こってしまい、本当に残念です。心よりお詫び申し上げます。
飼い主様により今回の事件をホームページに載せて欲しいとのご希望があったため、このようにホームページに載せさせていただきましたが、これはとても良いアイディアだと思いました。
こうやって載せることでこの事件が忘れ去られないよう自戒ができますし、さらに、ここをご利用くださっている飼い主様たち、さらにはここをこれからご利用する飼い主様たちに、犬と犬が自由に過ごせる場所=リスクがある、ということを意識してくださるのではないかと思いました。
犬を置いてご旅行に行かれる飼い主様の罪悪感が少しでも減るように、おうちで過ごしているかのようにお預かりするスタイルで、2009年12月からワンちゃんのお預かりさせていただいています。
公共の場所に慣れていない子達は、この場を通して「自分で考える」「自分で自分の場所を見つける」「自分で行動を起こす」ことを学んでいきます。犬としてルール学びながら、他の犬たちと同じ空間を共有することができるようになってきて、さらには、飼い主と離れていても自分らしく楽しくお留守番ができるようになっていきます。
ただ、もちろん犬と犬のケンカはないわけではありません。攻撃性があるから、という場合だけではなく、ただ単に楽しく遊んでいただけなのにエスカレートしてしまった結果、相手を傷つけてしまった、という場合もあります。臆病だからこそ他の犬に近づかれたら攻撃することで自分を守ろうとし相手を傷つけてしまうこともあります。犬慣れができていないと、相手の表情や行動を読み取れず、または自分からの意思シグナルを出せず、相手のシグナルを勘違いし、ケンカに巻き込まれるケースもあります。
この場所に通ってくれている子たちはコミュニケーション能力も高くなってき、怪我をするリスクは減ってくるとはいえ、やはりリスクはいつでも伴います。そしてそのリスクをできる限りゼロにするために、スタッフ一同で身体と神経を張ってお預かり中のケアをさせていただいております。
世の中もそうですが、何か事件があると、リスク回避のために「そうしない」との選択がなされます。公園でのボール遊び、川遊び、などなど、事件があればその場所を封じ、利用不可にしてしまいます。
今回のケースですと、あまり犬慣れできていない子で日中は固まってしまって動くことができていなかなった、ホールに数頭だけしかいない時間だけでも自由に動き回って慣れてもらえるようケージに入れずにそのまま出してあげていた、お迎えを待っていた中型犬に噛まれてしまった、という流れなので、「夕飯時にはどの子も出しておかない。全員をケージに入れる」という反省策が生まれてきました。本来なら、その時間も出しておいてあげたい子たちはたくさんいるのですが、リスク回避のために「やらない」選択肢を選ぶことになりました。
あえてフリーにせず、それぞれ個室でお預かりする環境だとリスクをゼロに近い最小限にとどめることができますが、そこを今でもあえて「ケージフリーで1日を過ごす」やり方を通しているのは、リスクがあるとはいえ、それだけのリターン(犬の成長)があると実感しているからです。
当店に来てくださっている皆様には第14条(保証・賠償)利用規約書に同意をしてご利用いただいていますが、不慮の事故でありこちらの過失がない場合にもできる限り誠心誠意で対応をさせいていただいております。
当店をご利用になる際には、そのリスクを理解した上でご利用いただけるよう、心からお願い申し上げます。